ミミィちゃんとの修羅場が訪れたキティキャッスル
キティキャッスルに帰るキティちゃんを別の道から追うように、キティファンの人たちと一緒にキティキャッスルに向かったよ。
キティちゃんに絵を観せたよ
キティちゃんと約束した通り、キティキャッスルに着いたところで、さっき見せた絵の背景として描かれているリボンを塗って少し進めておこう。全く同じ絵を進めずに見せたところで面白みに欠けるしね。
絵を見せようと企んでキティちゃんに近寄ったはずが、キティちゃんがさっき見た地味な服装とは打って変わって、目立つジュエルペットの浴衣を着ていたものだから、キティちゃんの絵には目も暮れずに浴衣に指をさしてきたよ。
このままではキティちゃんの絵が埋もれてしまう。浴衣に描かれた沢山のジュエルペットにキティちゃんの目線を誘導しつつ、徐々にキティちゃんが自身の絵が描かれていないか突っ込んでくるであろうタイミングを見計らおう。オレが手に持っていた、ほんの少し進めておいたキティちゃんの絵を見せるために。
うまく絵の誘導に成功すると、いい意味で騙されたように絵に向かって指をさして拍手をしてくれたよ。ありがとう。リボンがほんの少し塗られていたのには気づいたかな?
ここまではしゃいで喜んでいる様子だと、朝話した大事なことを忘れているのかもしれない。本来であればミミィちゃんの絵となっているはずの事実を。
改めてオレが、恐る恐るミミィちゃんの絵が描かれるはずだった事実を話すと、ミミィちゃんがその事実を知って悲しまないようにと、キティちゃんが内緒にするようにお願いをされたよ。アドバイスをありがとう。その考えもわかるよ。ただし、オレははっきり言って嘘をつくのが苦手なんだ。ミミィちゃんにははっきりと事実を伝えておこうと思う。
沢山のリボンが塗り終わると完成するキティちゃんの絵。オレの独断と偏見で色を選んでもいいけど、キティちゃんの絵なんだから、目の前にいるキティちゃんにリボンの色を選んでもらうというのがオレにとってもキティちゃんにとっても嬉しいことだと思うよね。
キティちゃんが悩みながら、パレードパラレルのドレスの衣装の一部である様々な色のリボンを使って、好みの色を掴んでオレに示してくれたよ。選んだ色は水色と紫色と黄色。上のGIFアニメのように、水色のリボンを特に手で動かして、まるでどのリボンにも水色を使って欲しいと言っているかのようにオレに見せつけてきたよ。
水色だらけでも、それはそれでバランスがいいかもしれない。ただ、せっかく色々な色があるのだから、紫や黄も使って行ったほうが見栄えが映えると思う。というわけで、スケッチブックの裏にこっそり忍ばせていた色鉛筆を使って、キティちゃんの目の前で色を塗っていくよ。キティちゃんもまるで自分も参加したいと心の中でささやいているかのように、色鉛筆は持たずとも、オレと同じようにキティちゃんも手を動かして色塗りに参加してくれたよ。
そんなことをしていたら、オレと同じようにキティちゃんに会いたがっている人達が後ろにいることに気づかなかった。完成したらまた見せるよ。一旦キティちゃんとはハイタッチをしてお別れ。ここまで付き合ってくれてありがとう。
ミミィちゃんの絵を描き忘れてしまい、ミミィちゃんが激怒
キティちゃんと一旦お別れしてから、キティちゃんとミミィちゃんが交代したことを知るオレ、ミミィちゃんにも完成途中のキティちゃんの絵を見せてみよう。
キティちゃんの絵を見せたら喜んでくれるはず。とっても仲の良い姉妹なら、キティちゃんの喜びはミミィちゃんの喜び。前日にミミィちゃんに絵を描いてくることを約束したにも関わらず、未だに描けていないオレに対して言い聞かせた。
ミミィちゃんがオレに必死に言い聞かせている様子を察しているかのように、キティちゃんの絵を観て、よく頑張ったと拍手して褒めてくれたよ。怒らないのか尋ねても、全く何とも思っていないみたい。
よかった。怒られずに済むんだ。そう考えてほっと一息したのもつかの間、ミミィちゃんが自分の顔に指をさして、約束の絵が見たいと言いながら、キティちゃんの絵の次のページに自分の絵が描かれていることを信じてめくったんだ。
残念ながらミミィちゃんの絵は無く真っ白。真っ白なキャンバスがミミィちゃんの視界に入った瞬間、約束を守ってくれなかったオレに対して失望させられて気が抜けたように、キティちゃんの絵が描かれたページを元に戻したよ。そして呆然と立ち尽くすミミィちゃん。修羅場となってしまって、巻き返す術が思いつかない。
ミミィちゃんがキティちゃんの絵が描かれた絵をめくって、本当に描かれていないのかを再び確認。オレにまだチャンスを与えてくれているかのように。その貴重なチャンスをオレが踏みにじるかのように、前日に宿題として描いてくるはずだった約束を忘れて、明日までに描いてくると言ってしまう思わぬ失言。
オレの思わぬ発言からミミィちゃんが呆然と立ち尽くすしかない。改めてミミィちゃんがこれが本当に現実なのかと確認するためにスケッチブックのページをめくるも、真っ白なページを見て現実に戻る。とうとうミミィちゃんがその現実を受け入れ、今まで落ち着いていた様子が真っ逆さまに切り替わってオレに勢いのあるビンタを仕掛けてきたよ。ミミィちゃんの配慮で顔にバチンとされることはなかったけど、もし当たっていたら痛かったよね。
キティちゃんの次のページがたまたま空白なだけで、もしかしたら他のページにミミィちゃんが描かれているかもしれない。微かな希望を与えてくれているキティちゃんのファンの言葉を信じるミミィちゃん。残念ながら他のページは真っ白なんだ。
キティちゃんのページ以外は真っ白であることを全てのページをめくってミミィちゃんに見せてみると、信じた私が馬鹿みたいだと考えているかのように肩を下げて、オレに対して手で払って邪魔者扱いされたよ。オレがゴミかホコリだと考えているかのようだよね。
今度は大の仲良しであるはずのキティちゃんが描かれたスケッチブックにミミィちゃんが目を向けて、まるで日頃の恨みを晴らしているかのように、手でガリガリと心を込めて引っ掻き始めたよ。
近くにキティちゃんがいなかったからこんなことをしたんだろうけど、もしも目の前にいたら顔が真っ青になってしまうかもしれない。私に対してこんなに嫉妬を抱いたのだと驚きながら。キティちゃんが見ていないからいいという考えでも、オレ達からしたらイメージダウンだぞ。
散々引っ掻いて憂さ晴らしした後は、約束を破ったオレに何も言わずにスケッチブックを手に取って、黄色い表紙をオレに見せつけて、ミミィちゃんの顔をここにデカデカと描いてほしいことを強く言ってきたよ。
もし表紙に描けば、ミミィちゃんの今までの怒りも水に流してくれそうだけど、残念ながらその希望に応えるわけにはいかないんだ。ジュエルペットのルビーちゃんが好きな者としては、表紙にルビーちゃんのカラーであるピンクの油性ペンを使って、今にも飛び出してきそうな表情のルビーちゃんを描きたいよ。
オレの本音をミミィちゃんに申し訳なさそうにトーンを控えめに伝えるオレ。その言葉を聞くと、私は所詮キティちゃんの影に隠れた存在なんだと冷めきった様子で肩の力が抜いてしまうミミィちゃん。
ルビーちゃんもキティちゃんが目の前にいない中でどうやったらこの思いを晴らせるか。約束を破ったオレ相手ならいいと考えたであろうミミィちゃんが、オレが着ていたジュエルペットの浴衣に描かれてたルビーちゃん達をひたすら引っ掻き始めたよ。あんまり引っ掻いてしまうと浴衣がボロボロになってしまうから勘弁して。
キティちゃんやルビーちゃんがいないからといっても、周りに誰もいないというわけでもなく、キティキャッスルのお姉さんやオレ達がいる前でここまでやけくそに憂さ晴らししてしまっていいのか。これらの様子を全部オレが頭につけていたビデオカメラに収めているから、のちにミミィちゃんが荒ぶっている様子が記録された動画をキティちゃんが見たりしてしまったら悲しんだりしないのか気になるよね。
約束を裏切って信用が落ちてしまっているオレが図々しく聞いてみると、ミミィちゃんとしては全く問題無いと考えているみたい。ミミィちゃんのよき理解者はキティちゃん。キティちゃんのよき理解者はミミィちゃん。そんな具合に分かっているからこそ、事情が事情ということもあって、キティちゃんが失望したり悲しんだりすることはないという考えなんだね。これはつまり、後でオレがキティちゃんに怒られるということ。覚悟しておこう。
再びキティちゃんの絵を見つめて物思いにふけるミミィちゃん。改めて明日までに描いてくることを話したら、今すぐ描いてこいという催促。
約束を破ってしまっているのだから、本来ならミミィちゃんの言う通りにしてイメージアップを図っておきたいところだけど、急がせるからには何か欲しいという欲にまみれた発言をしてしまったよ。なぜあんな発言をしてしまったのだろう。今までの過激なミミィちゃんの行動に反抗意識でもあったのかもしれない。
調子に乗っているオレのうかつな発言を聞いても一切動じず、抵抗をするオレをミミィちゃんが無理やり背中を押して、よく絵を描いている場所であるテーブルまで誘導しようとしたよ。
これはミミィちゃんが暗にオレの絵に期待していて、絵が完成するのが待ち遠しいのだと思う。そこまでされたら期待に応えるしかない。元々ミミィちゃんに催促される前に描く気でいたけどね。本当かよ。
ミミィちゃんでもキティちゃんでもそうだけど、ジュエルペットのように描き慣れている相手ではないし、パレードパラレルの衣装となれば、大きな写真を見ながらであれば、きっと良い絵が描けると思うんだ。
ミミィちゃんに申し訳なさそうに事情を話したら、快く許可をもらったよ。ただ、キティちゃんに対抗心を持っているからなのか、キティちゃんの絵に描かれているポーズと全く同じポーズで撮って欲しいらしい。ミミィちゃんとしては、あえてキティちゃんと同じポーズにして競っていこうというスタイルらしい。
無理にお願いして、キティちゃんに負けじと頑張ってパレードパラレルの一シーンのポーズを決めてくれたところで撮れたのがこの写真。ありがとう。
一見すると普通の決めポーズに見えるけど、ミミィちゃんの一連のキティちゃんに対する対抗意識を見てからは、また違って見えてくるよね。「世界のキティちゃん」に負けていられないという思いがこのポーズから伝わってくるよ。
思いのこもったポーズの写真を撮らせてもらえたのだから、ミミィちゃんに伝えないといけない。このキティちゃんの絵に負けない絵にしてみせると。
キティちゃんの絵を見せつつ、そんな約束を交わしたよ。すると、この絵に向かって、何らかのおまじないを見せてくれたよ。直接聞かなかったから分からずじまいだけど、きっと絵が上手く描けるようになるおまじないなんだと思う。嬉しいけど、より一層の緊張がのしかかるね。オレは果たして満足のいくミミィちゃんの絵を描くことができるのか。
せっかくモデルとして写真を撮らせてあげたんだから、早く完成した絵を観たい。そんなミミィちゃんが近くにある時計の数字に指をさしたよ。指をさした先には4の数字。午後4時までにミミィちゃんの絵を完成させて欲しいらしい。
午後4時はミミィちゃんがキティキャッスルに遊びに来る最後のチャンス。それまでに絵を完成させないといけない。ショーの合間に描けば十分間に合うと思うから、そこまで必死にならなくても大丈夫だよ。でも、余裕ぶっていると時間に間に合わないという事態になりかねない。ミミィちゃんが焦らせてくれるのはオレにとってはいいこと。
ただ、この後の11時からはプラザステージにて「マイメロディ&リトルツインスターズ 40thアニバーサリータイム」があるんだけど、それは観てもいいよね。念のために聞いてみると、そのショーは無視して書くことに専念して欲しいんだって。
そこまで言うのかと思ったけど、元々は約束を破ってしまったオレが悪い。ショーも少し見たかったけど、また明日見よう。ここでミミィちゃんとは一旦お別れして、絵を描くのに専念するね。写真を撮らせてくれてありがとう。
絵を描いている様子を後ろから覗くミミィちゃん
ミミィちゃんに言われた通り、マイメロディちゃんとリトルツインスターズの40周年の記念すべきショーを堂々と無視して、キティキャッスルで絵を仕上げている最中のこと。後ろに何かしらの気配がすると思って振り向いてみると、そこにはキティちゃんとお姉さんがいたよ。
さっきは散々オレに対してやったことを、キティちゃんに見られても全く問題ないとミミィちゃんが言っていたよね。そのミミィちゃんが言っていたことを鮮明に覚えていたオレは、頭の片隅に隠れていたウップンを晴らすかのように、キティちゃんが描かれた絵にされたことを伝えるオレ。
しかし、オレは大事なことに気づいた。ウップンを晴らしている相手はキティちゃんじゃない。ミミィちゃんだ。なぜオレは同じ過ちを繰り返してしまうのか。幸いにも絵の完成が近いことを伝えたおかげで、お茶目に怒っただけで許してくれたね。もしもここでミミィちゃんの約束を守らずに、プラザステージのショーに行ってしまったらと思うとゾッとするね。
オレが絵を描いている様子を、何も一声掛けずにじっと覗くほど暇を持て余しているようだから、せっかくだから、絵を描くのに一緒に付き合ってもらえないか提案したら、喜んでついてきてくれたよ。一緒に付き合ってもらうとはいっても、あくまでオレの宿題だから、ミミィちゃんは書いている途中で指摘する立場だね。
絵を描いている最中、時々ミミィちゃんの様子を確認してはいたものの、オレが目を離している間に体を動かしているね。一つ一つのリボンが塗られていく様子を見て、キティキャッスルのお姉さんと話していたのだと思う。
絵を描きながら一つ思ったことがあるんだ。あまりミミィちゃんを暇させてしまうのも、一緒に付き合ってもらえないか提案したオレとしては失礼に思えてならないよ。そう思いながら、あっという間に一通りのリボンを塗り終えたよ。
リボンとミミィちゃん周りの背景も塗っておきたい。一通り終えたところで未完成の絵を観てみると、今更ながらミミィちゃんのパレードパラレルの衣装が全体的に青でまとめられていることに気づいたんだ。目の前にいるミミィちゃんからも、さりげなく綺麗な衣装を見せつけつつ青でイメージしているという答えを貰ったところで、青という名の水色で背景を塗ることにしたよ。青色と言ったけど、どう見ても水色だよね。
ミミィちゃんがあまりに暇だったせいか、キティキャッスル内にも関わらず、まるで集中して絵を描いているオレを邪魔でもしようと企んでいるかのように、オレの視界にかろうじて入るところで踊っていたよ。
ミミィちゃんが踊っていたのは、まさにオレが今ミミィちゃんを描いているポーズの一場面。何度かパレードパラレルを見ているにも関わらず、どの部分か全く見当がつかなかったよ。オレにパレードパラレルの素晴らしさを見せつけるために、無理をして室内で踊って見せてくれたんだね。ありがとう。
描いている最中でもミミィちゃんの交代の時間を気にするオレ。時間は11時40分。12時でキティちゃんにバトンタッチしてしまうから、あと20分で完成させよう。ミミィちゃんも内心ではオレに早めの絵の完成を願っているはず。
目の前に置かれているiPhoneで時間を確認していたんだけど、ラリマーちゃんとオレとのツーショット写真が壁紙に設定されていることに注目して指をさすミミィちゃん。この自然の豊かなハーモニーランドにも遊びに来てもらいたいという密かな願いがあるんだけど、果たしていつになるか。
この場にいるのはミミィちゃんとキティキャッスルのお姉さんとオレだけ。この珍しい状況を今こそ利用するべきではないのか。今こそキティちゃんとミミィちゃんを散々間違えてしまった謝罪をするべきではないのか。
笑いが起こっているノリに乗って、苦笑いをしながらさりげなくミミィちゃんに今までの過ちについて謝るオレ。するとミミィちゃんは、オレが素直に謝ったからか、何とも思っていないとミミィちゃんがオレに訴えかけてくれたよ。苦笑いをしてしまったにも関わらず、特に怒らないミミィちゃん。さっきの怒りをあらわにした殺気立つ様子とは違って、まるでエンジェルだった。勇気を振り絞った甲斐があったね。
背景を塗り終え、一つだけ塗られていないリボンが残っているよ。オレが塗りたいところだけど、描いている様子を長い間見守ってくれていたミミィちゃんに色の選択を委ねることにしよう。
散らばった沢山の色鉛筆の中でミミィちゃんが指をさしたのは黄色の色鉛筆だった。何も混ぜない純粋な黄色を希望しているよ。締めの色も強く主張できるビビットな色。内心ではキティちゃんよりも目立ちたいという思いからの色の選択かもしれないね。
ミミィちゃんの筆記体の字にも色を塗ってようやく完成。キティちゃんの絵と比較すると、目が少し大きくなってしまったけれども、その程度は大したことないどころかむしろ可愛いと、さりげなくぶりっ子になりながら主張してきたよ。ちょっと見とれてしまったけど、これもキティちゃんへのライバル意識があるがゆえの色仕掛けなのか。謎が深まるミミィちゃん。
そんなミミィちゃん達に完成した絵を見せたところで、少しの間お別れ。絵を描くのに一緒に付き合ってくれてありがとう。
ミミィちゃんにさっき描いた絵をプレゼントしたよ
急かした本人が満足して戻っていったところで、ミミィちゃんに会いたがっているお友達の列が出来ていたから、急がされたオレは少しの間休憩。オレが約束をしっかり守ったことによって、心の中の霧が晴れて、思う存分に沢山のお友達と触れ合えるね。事の発端であるオレが言うのも問題がありそうだけど、もう終わったことだからいいよね。きっと許される。
空いてきたところで、ご機嫌を取り戻したであろうミミィちゃんにふたたび挨拶をしに行ってきたよ。スタッフさんから「お待ちしていました。」という歓迎の挨拶。ミミィちゃんの笑顔よりもスタッフさんの笑顔に視線を奪われそうになりながらも、頑張ってミミィちゃんに顔を向けていこう。
ミミィちゃんが急かしに急かして完成させた、初のミミィちゃんを描いた絵。オレはミミィちゃんと一緒に時間を共有して描いたという思い出だけで十分だから、ミミィちゃんにはこの絵をプレゼントとして受け取ってほしい。せっかくだからオレがスケッチブックから切り離そうと思ったけど、内気なミミィちゃんの切り離す様子が見てみたいよね。オレが話を振ってみると、オレが緊張しながら見守ったのが無意味と思えてくるぐらいに綺麗に切り離して見せてくれたよ。慣れた手つきはキティちゃんとタメを張れるぞ。
切り離したら、うまく切り離せることを遠くから見守っていたスタッフさんに大急ぎで向かっていたよ。オレが描いた絵を自慢するかのようにね。
ミミィちゃんがそこまで自慢するとは思わなかったものだから、急かされたとはいえ本当にこれでいいのかと聞いてしまったけど、ミミィちゃんや他のスタッフさんからは全く問題ないとのこと。
それほどのクオリティがあるのなら自信を持つしかない。是非ともキティちゃんにこの絵を見せてあげてほしいよね。きっと嫉妬しちゃうぞ。でも程々にね。嫉妬しすぎてキティちゃんがオレに絵を頼み込んでくるかもしれない。嬉しいような嬉しくないような。
あと何時間か経ったら、外で行われるパレードパラレルでミミィちゃんが、絵として描かれている生き生きとしたポーズを決めてくれるんだよね。
絵を見つめ続けながら思いふけっているミミィちゃんにそのことを話すと、パレードは何度もこなしていて何のそのというようなガッツポーズを見せてくれたよ。キティちゃんには負けていられないという想いもあるのかもしれない。この絵よりも輝いた姿を見せてくれることを期待しているからね。
このまま手に持っていると、他のお友達と触れ合う時にかさばってしまうよね。そう思ったからか、ミミィちゃんが飾る場所を探し始めたよ。
悩みに悩んで最終的に選んだ場所は、キティちゃんの顔が沢山描かれた壁。そこまではいいけど、なぜかキティちゃんの顔を隠すように飾ろうとしていたのがオレの中で引っかかったよ。キティちゃんの顔をミミィちゃんの絵にして、徐々にミミィちゃんの絵で埋めてしまおうという作戦か。オレはまた一つ、ミミィちゃんの裏の顔をのぞくことができてしまったよ。
戯れ合っているうちに、ミミィちゃんと触れ合いたいお友達が来たよ。キティちゃんがイーゼルに絵を置いていたことを話したからか、ミミィちゃんも同じ場所に絵を置いて、再びオレが会いに来ることを約束したら、ハグという形で約束を交わしたよ。ありがとう。
もう絵は描かなくて大丈夫?
ミミィちゃんにしつこいと思われることなんかは一切恐れることなく、再び会いに行ってきたよ。ミミィちゃんがオレの姿を確認すると、まだ絵の話があるんじゃないかと思われてるかのように、イーゼルに飾られている絵に向かって指をさして、絵の場所に近づいていったよ。
この絵を見るたびに思い出すね。朝にミミィちゃんにビンタされたり、邪魔者扱いされたり、着ている浴衣のルビー達が描かれている部分を思いっきり引っかかれたこと。全部キティちゃんに対する強い対抗意識だね。
そのことについて触れたら、オレが話し終える前にも関わらず、ミミィちゃんは切実そうな様子で秘密にしてほしいことを訴えかけてきたよ。実はまだ絵が欲しいんじゃないかという考えも思い浮かべてしまうんだけど、全くそんなことなく、絵に向かって手と腕を使って大きな円を描いて、とっても想いのこもった絵をプレゼントしてくれてありがとうとお辞儀をしながら言ってくれたよ。そこまでされると、朝の出来事の記憶なんて吹き飛んでしまうどころか、オレもお礼を言いたくなっちゃうよ。ありがとう。
ミミィちゃんがそこまで絵を気に入ってくれているのだから、ミミィちゃんに一言お願いして、大事そうに手に持っているところを写真で撮らせてもらったよ。
あえて絵が汚れてしまわないように端の方を持ってくれていて、なおかつミミィちゃんの頭と同じ高さまで掲げ、絵が中心になるように、顔を傾けてくれているよね。まさに絵を自分と同じくらい大事に思ってくれている証。
写真を撮らせてもらった後は、すぐにイーゼルに置かなかったよ。絵と一緒に撮れたことに感謝しつつ、一つの物ではなく生き物として接しているかのように絵を抱いたり、さらには絵とキスもしていたよ。
ここまでの思いやりはキティちゃんに絵をプレゼントした時でも見たことがないよ。それだけ絵がお気に入りになっているのかもしれないね。ここまでされるとオレが何故か恥ずかしくなっちゃう。
十分に愛を育んでイーゼルに戻したよ。ただ戻すのではなく、今イーゼルに飾られているキティちゃんが印刷されたカレンダーのキティちゃんの部分が隠れないように配慮しつつ戻していたことがポイント。
一切の隙が無いね。実は朝の暴れに暴れたミミィちゃんの様子をこっそりキティちゃんが見ていて、お互いが交代中、キティちゃんの様子をミミィちゃんが察したからなんじゃないかと勘ぐってしまうくらいだよ。いくら勘ぐった所で、そんなことはキティちゃんにもミミィちゃんにも聞けない。聞いてもしっかりとした返事は期待できなさそう。例えオレの想像が真実だったとしても、キティちゃん達ならすぐに仲直りできる。オレはそう信じてるよ。
ここで唐突にルビーちゃんにプレゼントする予定のスケッチブックを見せびらかすオレ。昨日も散々見せびらかしたというのに、何故今日も同じことをしようと思ったのか。ミミィちゃんがあまりに優しく接してくれるものだから、やたら元気で激しいルビーちゃんから心変わりしようとしていたオレを止めるために、あえてミミィちゃんを怒らせるようなことをして反射的に行動を起こしたのかもしれない。
そんなオレの行動を、まるでルビーちゃんに恋心を抱いているのだと疑って掛かるように小突かれたよ。嫉妬はあるはずなのに、そんな素振りは一切見せない。ミミィちゃんの器の大きさを見てしまったね。
全てのページをルビーちゃんを含むジュエルペットで埋めた、とっても気合の入ったスケッチブックだけど、唯一残念なところがあるんだ。それは、少し前に関東を台風が暴れに暴れて通過した日に、オレがうかつにもリュックにこのスケッチブックを入れていたものだから、思いっきり濡らして形がいびつにしてしまったこと。
ミミィちゃんにそのことを話すと、さっきのミミィちゃんが描かれた絵を我が子のように抱いたりしていた時と同じように、スケッチブックの表紙を心を込めて撫でてくれたよ。ありがとう。撫でても形はそのままだけど、スケッチブックの中身をこれから見ることになるルビーちゃんは、オレとミミィちゃんの想いによって、描いた絵がどんな形になろうとも伝わってくれるはず。
プラザステージで行なわれている「マイメロディ&リトルツインスターズ 40thアニバーサリータイム」はもう終わって、またキティちゃん達に会いに来るんじゃないかと思ったけど、全く来る気配がなし。これから行われるパレードパラレルを観る場所を確保しに行ったのかもしれない。
そろそろオレも向かわないといけないね。向かう前に、スケッチブックに描かれたキティちゃんの絵を主張しながら観ることを話したよ。キティちゃんはこの絵のように輝いているということを、パレードで踊っている最中に多少たりとも目に入ってくれたら嬉しい。
本来であれば、これだけ優しくしてもらえたミミィちゃんの絵を徹底的に主張するべきなんだろうけど、ミミィちゃん自身からストップが降ってしまったよ。ミミィちゃんはキティちゃんが鬼のように怒る様子を恐れている様子。やっぱり朝に何かあったのかもしれない。申し訳ないと思いながらも、ミミィちゃんの考えを受け入れて、キティちゃんの絵を主張することにするよ。
ミミィちゃんもそろそろパレードパラレルの準備に向かわないといけないみたい。キティちゃんの絵を主張はするけど、オレはミミィちゃんを若干ひいき気味に応援させてもらうよ。
ここまで長々と付き合ってくれてありがとう。最後は「パレードパラレル」と言うところを噛んでしまいながらお別れしたよ。ここまでミミィちゃんと良い雰囲気だったのに、ここで噛んでしまったのは情けない。ミミィちゃんの晴れ舞台であるパレードの名前を何故噛んだ。
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